定年後 映画 生きる

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こんにちわ、
よしおです。

若い頃観た映画、読んだ本、聴いた音楽が、60歳になり定年になって、改めて観たり、読んだり、聴いたりすると違う感銘を受けるものです。

例えば、僕はクラシック音楽が好きで中学生の頃から50年以上聴いています。
同じベートーヴェンの演奏でも、若い頃が、激しく鋭く派手なものが好きですが、いまが一見何もしていないようで、実は味わいのある演奏が好きになってきました。

そんな中、黒澤明監督の『生きる』を観ました。

以前は、いつ観たか?

20代の時か、30代の時か?

その時は、どんな感銘を受けたかも憶えていません。

ただ、何十年ぶりに観て、深い感銘を受けました。

定年後 映画 生きる テーマ

主人公、渡邊勘治は、市役所市民課の課長。
30年近く無欠勤を誇っていたが、通院ということで欠勤してしまった。

まず、この主人の渡辺課長のことを初老はまだいいとしても老人と解説している文章を名にすることがある。

終戦後、まだ数年しか経たない昭和20年代後半。
世間的に定年は、55歳か?

それなら、主人公の渡辺さんは、54歳くらいか。
演じている志村喬も当時40代後半。

ちなみにこの映画が公開された1952年の男性の平均寿命は、61.9歳。
現代よりも20年も低い。

しかも渡辺さんは、当時不治の病と言われる胃がんを宣告されたのです。
いや、正確には医者は宣告していません。
当時は、告知しない風潮だったようです。

でも、渡辺さんが、診察室を出てから診察をした医者は、あと半年だろうと言います。
そして若い医者や看護士に
「もし君たちがあと半年の命だとしたらどうする?」
と投げかけます。

木村功演じる若い医者が、考え込むようにして応えず、看護士は、劇薬を飲むと言います。

若い頃は、こんなシーンはあまり憶えていません。

むしろ飲み屋で知り合った小説家と盛り場を徘徊するシーンはやたら憶えています。

そして、この映画の裏テーマソングとなっているのが、

渡辺さんが、小説家と訪れた歓楽街の店で、歌った、『ゴンドラの唄』。

“いのち短し、恋せよ乙女”という歌詞の有名な曲。

大正時代に流行った歌ですが、命の儚さをテーマにしているようです。

でも、いざ歌詞を読んでみる定年後の僕にもじーんと来るものです。

特に1曲目の

熱き血潮の 冷えぬ間に
明日の月日は ないものを

というのは、その内まさに命の炎が消える時が来るんだな、
いや明日かもしれないと感じてしまいました。

定年後 映画 生きる 後悔とは

主人公の渡辺さんは、自分の病気を知って、自宅で落ち込んでいた時、やたら息子のことを回想していました。

僕も最近、子供たちの幼かった頃をよく思い出します。

そして、会社の部下の若い女性が、役所の仕事は退屈だから退職して玩具工場で働くと辞表に印鑑を押してもらいにくる。

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周囲は、愛人が出来たのではと勘ぐる。渡辺さんは、1日彼女を行動を共にすることで、自分のいままでの30年間の生き方、働き方を振り返って後悔しだすのです。

息子が幼い頃、妻に死なれ男で一つで息子を育ててきた。しかもその息子は、りっぱに社会人となり結婚もしている。

でも息子になんで本当のことが言えなかったのだろう。

つまり渡辺さんは、30年間無欠勤で勤めてきたのに、自分は何をしていたのだろうと後悔しだすのです。

そして、残された短い命で何が出来るだろうと考えます。
そのためには、元部下の若い女性の力も必要だった。

彼女は、ただ働いているだけ、こんなもの作っているだけとゼンマイ仕掛けのウサギのおもちゃを取り出す。
でも、こんなものでも全国の子供たちが喜んでくれると嬉しい、と語ります。

その元部下の言葉とウサギのおもちゃを見てようやく気付いたのです。
残りの人生を住民たちから要望されているドブを埋めて公園を作ることが自分の使命と気づいたのです。

最後に

黒澤明『生きる』(1952年)

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映画の後半1/3ほどは、渡辺さんの遺影を前にした通夜の席。

まず市役所のお偉方の偉そうな語り。

そんな中、公園を陳情した町内の婦人たち数名が焼香に訪れる。

そんな姿にいたたまれなくなったお偉方が去ってから、渡辺課長は、なぜ突然あんなに熱心に仕事をするようになったかという部下たちによるおしゃべる始まる。

これは映画の中でも感動的なシーンです。

彼女たちが、何も話さない。ただ、渡辺さんの遺影の前で、すすり泣くだけ。
それが彼女たちの渡辺さんへの厚い感謝の気持ちが伝わってきます。

こんな生き方が出来るだろうか。

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